2018年の食品衛生法改正で、原則全ての食品事業者に導入が義務付けられたHACCP(ハサップ)の取り組みについて、日本政策金融公庫はこのほど、全国の食品関係企業(製造業、卸売業、小売業、飲食業)に、その取り組み状況について調査した。食品製造業でHACCPを「導入済み」または「導入途中」の割合は62.3%。飲食業がHACCPに取り組む製造業者との取引を希望している割合が過半数に達していることが分かった。
食品製造業者のHACCPの導入状況は、「導入済み」が42.0%、「導入途中」が20.3%。この二つを合わせた62.3%がHACCPの導入に取り組んでいることになる。取り組んでいる企業割合は前年調査から11.8ポイント上昇した。
業界団体や地方公共団体など、第三者からHACCP認証を取得している製造業者割合は48.7%。このうち「取得済み」が35.3%、「取得途中」が13.4%。
これら食品製造業が導入しているHACCP関連の認証の種類を聞いたところ(複数回答)、「国際的なHACCP認証によるもの」(41.1%)、「業界団体によるHACCP認証など」(34.3%)、「自治体によるHACCP認証」(30.2%)、「厚生労働省による総合衛生管理製造過程認証制度」(8.5%)、「輸出先国が求めるHACCP認証によるもの」(4.6%)などだった。
HACCP導入の契機は「義務化による導入」が37.9%と最多。以下、「取引先からの要請」(18.4%)、「異物混入等の食品事故を契機とする消費者の意識向上」(17.5%)、「工場の新設、改修等の設備投資」(9.5%)などとなっている。
HACCP導入の際の課題は「施設・設備の整備(初期投資)に掛かる資金」(27.4%)、「HACCP導入までに掛かる費用」(13.3%)、「HACCP導入手続きの手間」(11.7%)、「HACCP導入後に掛かるモニタリングや記録管理コスト」(11.6%)など。主に費用に関する回答が多い。
飲食業、食品小売業、食品卸売業に、HACCP関連の導入や認証の取得について、取引先の製造業者にどの程度の水準を求めるかを聞いたところ、「指定の認証を取得しているところと取引をしたい」が、飲食業で35.1%など、いずれの業種でも最多となった。
「認証のうち、どれか一つ以上の認証を取得しているところと取引をしたい」「認証はなくても、導入済みであればよい」を加えたHACCP関連の認証を取得、または導入済みの企業との取引を希望する割合は、飲食業で67.5%など、いずれの業種も過半数となった。
調査は全国の食品関係企業6859社に実施。このうち2406社から有効回答を得た。